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顧問先・依頼者・相談者からよくある質問

労務問題

入退社手続きについて

入社手続きのため、従業員から取得する情報はどのようなものがありますか。

①住所・生年月日・マイナンバー②雇用保険被保険者番号③報酬月額④通勤費の有無⑤給与の振込口座等の情報⑥扶養の有無⑦扶養家族の情報⑧前職の源泉徴収票(年末調整時)などが必要です。

その他、健康診断書や身元保証書、資格の証明書等を会社の定めに応じて取得しましょう。

雇用契約書の押印は省略しても良いですか。

契約書に押印がなくとも契約は成立します。

しかし、押印がないことで未完成な文書(最終合意していない)という不毛な争いがおこることがあります。末尾の記載を「・・・上記契約内容となることに同意し、自筆で署名します(押印は省略)。」等とすると良いでしょう。なお、雇用契約を電子契約で行うことも考えられます。電子契約であれば印鑑は不要です。

扶養控除等申告書は、なぜ従業員から提出してもらうのですか。

申告書の内容から、毎月の給与で控除する所得税額を決定するためです。

扶養家族の有無にかかわらず、最初の給与の支払日までに提出が必要です。提出しない場合、控除される税金が高額になります。社員には原則提出してもらいましょう。

入社した従業員の保険証が急ぎで必要です。

健康保険被保険者資格証明書の交付申請によって、保険証に代わる書類を取得することができます。

管轄の年金事務所の窓口に、交付申請書を提出します。会社の担当者が提出する場合、事業主または被保険者の委任状が必要です。なお、「被保険者資格取得届」または「被扶養者異動届」と併せて提出する必要があります。

転職してきた従業員の雇用保険番号が分かりません。資格取得の手続きは可能ですか。

前職の経歴(〇〇年▲月~■■年△月 (株)〇〇)を記載するか、履歴書を添付することで、ハローワークで番号の検索が可能です。

入社した社員のマイナンバーが不明です。社会保険加入の手続きを行うことは可能でしょうか。

厚生年金・健康保険は、住所と基礎年金番号で手続きが可能です。

雇用保険加入手続きは、基本的にマイナンバーが必要になります。マイナンバーの記載された住民票を、役所等で取得することが可能です。従業員に提出を依頼しましょう。

入社前に入社手続きの書類を提出できますか。

年金事務センター(健康保険・厚生年金保険)、ハローワーク(雇用保険)双方、提出できません。

入社の事実が発生後、書類を提出します。退職時や月額変更の場合も同様です。

社員が退職します。必要な手続きを教えてください。

加入している保険により異なります。なお、手続きは退職日以降しか行うことができません。

健康保険・厚生年金保険に加入している場合は、退職日の翌日以降に保険証を回収します。「健康保険・厚生年金被保険者 資格喪失届」を保険証と併せて提出します。

雇用保険に加入している場合、退職理由を必ず確認します。退職理由によって、失業給付の待期期間や給付日数が異なる可能性があるためです。離職票が必要かどうかも併せて確認しましょう。

源泉徴収票は退職後1か月以内に交付します。

住民税については、1月〜5月退職の場合、基本的に残額を一括徴収します。6月〜12月退職の場合、退職者からの申出があれば、退職月~翌年5月までの未徴収分をまとめて控除します。希望がない場合、普通徴収切替の手続きとして、「給与所得者異動届出書」を該当市町村に送付しましょう。転職先が決まっていて、退職者の希望がある場合、給与所得者異動届出書を退職者に交付する形でも構いません。

従業員が入社から1カ月未満で退社しました。当月分の社会保険料は控除する必要がありますか。

社会保険料は月単位で計算するため、同月に入退社があった場合でも、労使双方に1月分の保険料支払い義務が発生します。遡って資格を抹消することはできません。

厚生年金保険料は、同月内に国民年金への加入手続きをするか、転職して厚生年金に再加入すれば、先に納付した厚生年金保険料の納付が不要となります。

実務的には、厚生年金保険料の還付は不確実であるため、退職者からは徴収の上、年金事務所から通知書が届いた場合に、還付手続きを行うことが望ましいでしょう。なお、健康保険料についての還付はありません。

労働保険・社会保険の手続について

従業員から、海外にいる配偶者を扶養に入れたいと要望がありました。手続きはどうしたらよいですか。

「健康保険被扶養者異動届」の提出が必要です。

配偶者の来日が観光や保養目的でないこと、国内に居住していることが要件です。配偶者が住民票を日本に移し、マイナンバーが付与された後に手続きが可能です。

扶養に入っていた従業員の子どもが就職しました。手続きは必要ですか。

「健康保険被扶養者異動(非該当)届」の提出が必要です。

該当者の保険証を従業員から返却してもらいます。保険証を紛失などで返却できない場合、「被保険者証回収不能届」の提出が必要です。

従業員の妻が出産しました。どのような手続きをとれば良いですか。

従業員の扶養に入れる場合、「健康保険被扶養者異動届」の提出が必要です。

共働きの夫婦の場合、原則、今後1年間の収入見込みが多い方の被扶養者にします。届出書提出の際、子どもの氏名、生年月日、性別、マイナンバーが必要です。

出生届の提出により、子どもの住民票登録&マイナンバーの付番が行われます。届出書提出後、出生の日より被扶養者としての資格が遡って発生します。

従業員が転居しました。住所変更の手続きは必要ですか。

マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、原則、届出は不要です。

社内での通勤手当の見直し、報酬月額の変更(2等級以上の変動がある場合)等を、忘れずに行いましょう。

従業員が病気になり出社できません。手当金等はありますか。

病気やケガで会社を休んだ時には、傷病手当金が受けられます。

傷病手当金は、仕事を休んだ日から4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。提出の際、医師の証明書が必要です。書類の提出は、申請期間の経過後に行います。

管轄の健保協会により、支給要件等が異なる場合があります。初回申請時に問合せを行いましょう。

妊娠に伴う体調不良のため、休業している従業員がいます。傷病手当金の対象ですか。

妊娠は本来は傷病手当金の対象外ですが、療養を言い渡される状態である場合、対象となりえます。(切迫流産、妊娠高血圧症候群、悪阻、子宮頸管縫縮術など)

医師の診断書を取得するよう、従業員に促しましょう。

傷病手当金は、どのくらいの期間支給されますか。

令和4年1月1日より、支給期間が、支給を開始した日から通算して1年6か月に変更となりました。

支給満了日を含んだ申請書を提出した場合、従業員本人に支給される支払決定通知書に、支給満了日の記載があります。健保協会への問合せをする際、会社経由で回答を得ることは、個人情報の観点から困難です。本人に問合せを依頼しましょう。

従業員が病気で療養しています。医療費が多額になると相談がありました。

高額療養費の支給申請が可能です。

所得に応じて、自己負担限度額までの負担で治療が可能になります。一時的な支払いが大きな負担となる場合、限度額適用認定証の申請も可能です。

労働保険の年度更新について教えてください。

毎年4月から3月までの1年間を単位とし、年度毎に労働保険料(労災保険料+雇用保険料)を申告する手続きです。

前年度の確定した労働保険料と今年度の見込み分の労働保険料を、6/1から7/10までの間に、労働基準監督署に申告・納付します。

毎年5月末頃、労働局から「労働保険料・一般拠出金 申告書在中」と記載された封筒が会社宛てに届きます。賃金台帳を参考に、保険料申告書を記載しましょう。

なお、労働保険料は、決済サービス(ペイジー)を使用した納付が可能です。

基礎年金番号について教えてください。

全ての公的年金制度で使用される、一人に一つの番号です。

令和4年4月以降、初めて被保険者資格の取得手続きを行った方には、従前の年金手帳に代わり、基礎年金番号通知書が発行されています。

社会保険は何歳まで加入する必要がありますか。

厚生年金保険は、原則70歳未満の加入です。70歳以上の場合、老齢年金の受給資格がない(年金を受給していない)場合にのみ、任意加入が可能です。(事業主の同意がない限り、保険料は被保険者負担)

健康保険は、75歳未満の加入です。被扶養者の扶養認定も同様のため、75歳以上になると扶養から外れ、後期高齢者医療保険に加入する必要があります。

給与計算・年末調整について

従業員の給与に大幅な変動がありました。何らかの手続きが必要ですか。

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って変わった場合には、月額変更届を提出します。変更後の報酬の支払い月から起算して、4カ月目の標準報酬から改定を行います。

従業員がiDeCo(個人型確定拠出年金)の給与からの控除を希望しています。対応の必要はありますか。

事業所は、事業所登録や事業主証明書の提出に協力しなければなりません。但し、掛金の納付につき、事業主が払込みを認めるかは事業所の判断に任されています。

従業員が個人払込を選択している場合、掛金納付に係る事業所の事務はありません。

月途中に入社した社員の給与計算方法について教えてください。

日割り計算が一般的です。計算式は下記のどちらでも構いませんが、就業規則や賃金規程への記載が必要です。

①(月給)÷(年平均の所定労働日数)×(実働日数)

②(月給)÷(該当月の所定労働日数)×(実働日数)

通勤費は定期代を日割りするか、1日分の往復単価を日数分支給することが一般的です。

年平均の所定労働日数を採用する場合、該当月の所定労働日数と異なる場合には、支給額が実労働日数に対応しない不都合が生じることがあります。この場合、該当月の所定労働時間で割った日割り計算を行い、給与日額を計算することが望ましいでしょう。

年の途中で扶養異動があった場合に、所得税に関して行う手続きはありますか。

社会保険上の扶養と、所得税法の扶養は定義が異なります。

基本的に、年末調整の際に扶養異動を行えば、所得税法上の計算の問題は発生しません。

但し、扶養から外れることが分かっている場合、年末調整時に多額の金額が差引かれる可能性があります。扶養控除等申告書を更新の上、源泉所得税の額を、適切なタイミングで変更することが望ましいでしょう。

有給休暇(1日)を取得した場合の労働時間はどのように算定しますか。

実労働時間にはカウントしませんが、所定労働時間にカウントします。フレックスタイム制の場合、労使協定によって定めた、標準となる1日の労働時間を労働したものとして扱います。

時間単位年休について教えてください。

労使協定を締結すれば、年に5日を限度として、従業員に時間単位年休を付与することができます。なお、分単位での休暇を与えることは認められません。

半休については、労使協定の締結がなくとも、日単位の有給取得の阻害とならない範囲で付与が可能です。

土曜日に従業員が出勤しました。会社の勤務日は月〜金です。休日手当を支払う必要はありますか。

休日には、「法定休日」と「法定外休日」の2種類があります。

土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日と定めている場合、休日割増賃金は発生せず、通常労働時間分の賃金の支払いが必要となります。但し、土曜日に出勤した結果、週の所定労働時間を超えて労働した場合、超過した時間に対して通常の1.25倍の割増賃金を支払います。

業務の閑散期に従業員を早退させました。早退した時間は労務の提供がないため、賃金を支払う必要はないのでしょうか。

会社都合でもともと出勤日(勤務時間)だった日(時間)を休業(早退)とした場合、欠勤(早退)控除の対象になりません。

会社側は少なくとも平均賃金の60%以上の金額を、「休業手当」として支払う必要があります。そのため、早退が従業員の都合によるものか、会社の都合によるものかが重要になります。

台風のため、従業員を午前中自宅待機させました。賃金及び休業手当を払う必要はありますか。また、有給休暇として処理することはできますか。

台風など、不可抗力で休業せざるを得ない場合、賃金及び休業手当を支払う必要はありません。不可抗力ではなく、会社の判断で休業する場合、休業手当を支払う必要があります。

上記の場合に、会社が一方的に有給を指定することはできません。ただし、会社が、「台風で休業するので、無給扱いとなるが、有給を利用すれば賃金が支払われる」旨説明して、従業員が任意に有給申請すればOKです。

法定休日は日曜日です。日曜日に出勤した場合、週ごとの労働時間を数える際には、週40時間の計算にカウントする必要がありますか。

法定休日である日曜日の労働については35%の割増賃金を支払うことになります。法定休日の割増賃金として重複して割増賃金を支払うことは想定されていないため、法定休日の労働時間について、週40時間の計算に加える必要はありません。

他方で、振替により法定休日に勤務する場合、週40時間の計算に算入する必要があります。振替により法定休日の勤務に対し割増賃金を支払うことにならないからです。振替出勤した日曜日の勤務時間を含めて週40時間を超過する場合には、割増賃金支払い義務が生じます。

週40時間超の部分は、0.25倍した残業代を支給すれば良いのでしょうか。若しくは、1.25倍した残業代を支給する必要がありますか。

週40時間超の労働部分について通常の賃金を支払っている(別途計算されている)のであれば、同部分の割増賃金は、割増率0.25を乗じた金員となります。

従業員が、副業で別会社に勤めています。年末調整は主たる勤務先である当社で行うのでしょうか。

一般的には、主たる勤務先に扶養控除等申告書を提出の上、年末調整し、その後、確定申告することになります。但し、個人情報保護の観点から、どちらの勤務先にも扶養控除申告書を提出せず、確定申告のみ行うことも容認されています。(税務署により対応が異なる可能性があります。)

扶養控除申告書を双方の事業所に提出しない場合、主たる勤務先・従たる勤務先とも乙欄での控除になるため、源泉徴収時の所得税が高額になります(後に還付されるため結論としての税額に変わりはありません。)。

従業員に異論がなければ、扶養控除等申告書を提出してもらい、年末調整を行いましょう。

固定残業代制を採用しています。休日労働の賃金計算方法について教えてください。

例えば土日休日のうちのいずれかに休日出勤した場合、週1回の法定休日出勤ではないとして、固定残業に含めて考えることができます。

しかし、両方とも出勤した場合など、法定休日に出勤した場合には、固定残業分とは別に1.35倍を乗じた残業代を別途支払う必要があります。

1か月単位のフレックスタイム制を採用しています。残業代の計算方法について教えてください。

フレックスタイム制の清算期間の法定労働時間の総枠は、次の通り計算します。(=1週間の所定労働時間(40時間)×清算期間の歴日数/7)

1か月の総勤務時間が法定労働時間を超えれば法外残業となり、1.25倍の賃金支払いが必要です。

有給休暇を取得した場合には、「標準となる1日の労働時間」として所定労働時間分働いたとみなし、実労働時間に加えて計算します。

年末調整を行いました。源泉徴収票はメール等で交付しても良いですか。

構いません。従業員からあらかじめ承諾を得れば、電磁的方法、つまり、メール、チャット等で交付することができます。ただし、後に従業員から書面の交付を求められた場合には、交付しなければなりません。

給与支払報告書について教えてください。

労働者の住所地(1/1現在)の市町村へ、昨年に支払った給与金額を申告する手続きです。特別徴収の実施のためにも、提出が必要となります。なお、昨年に給与支払いのない労働者については、報告書の提出は不要です。

また、昨年退職した者であっても、30万円以上の給与支払がある場合、提出の必要があります。

運送業に関する労働問題について

傭車運転手が業務に従事中、製品が倒壊し怪我をしました。労災手続きは会社で行うのでしょうか。

傭車運転手の労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者性が否定される場合、運転手自身に手続きを行うよう促します。運転手が、労災保険法27条3号所定のいわゆる一人親方(事業主)として「特別加入」の申請を行い、自ら保険料を納付しているかを確認しましょう。

特別加入の手続きを行っている場合、労災事故報告書を加入団体に提出するよう伝えます。事故の発生状況等、会社で証明が必要な事項があれば記載に協力しましょう。

運転手が飲酒事故を起こしました。就業規則に従い、懲戒解雇する予定です。注意するべき事柄はありますか。

自宅待機の上、走行距離、飲酒の程度(呼気中のアルコール濃度)、刑事処分などの事実関係が確定してから、懲戒処分(解雇)にするべきでしょう。

非常に悪質な行為であり、直ちに懲戒解雇にしたいところですが、未払残業代がある場合、懲戒解雇後に残業代を請求される可能性があります。この観点からも慎重かつ丁寧に対応する必要があります。

また、会社としても、警察署や運輸局に対し、アルコール検査等を適切に行っていること等を説明する必要があります。本人から聞き取りの上、事実関係報告書を作成しましょう。

なお、運転手に飲酒運転の故意がなかったという言い分がある場合、この点が懲戒処分無効確認の争点となる場合があります。

解雇する場合には、労働基準監督署に解雇予告除外認定申請書を提出します。労基署の認定後、懲戒処分通知書を運転手に交付します。

その他の労働問題について

管理監督者の雇用契約書作成の際の注意点はありますか。

時間外労働及び休日労働について割増賃金を支払う必要はありませんが、深夜労働については支払の必要があります。

従業員と管理監督者該当性が争われることが少なくありません。雇用契約書の従事すべき業務の内容に、管理監督者に該当することを伺わせる業務内容を記載する必要があります。

出退勤をはじめとする労働時間について裁量権があることも必要ですが、他方で会社としても労働時間管理義務があります。労働時間の項目に「管理監督者としての裁量権がある。」等と記載しましょう。

完全歩合制を導入した場合の最低賃金の算出方法を教えてください。

歩合制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に歩合制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

通勤手当や時間外割増手当等、最低賃金の対象外の手当は除いて計算します。

固定給と歩合給を支払っている場合の最低賃金の算出方法を教えてください。

固定給+歩合給の場合、それぞれを時給換算した賃金を合計した額が最低賃金を上回るか確認することになります。

変形労働時間制の導入を検討しています。必要な手続きについて教えてください。

変形労働時間制とは、一定期間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。1か月単位・1年単位の変形労働時間制があります。

1年単位の変形労働時間制を導入する場合、労使協定を締結の上、年間カレンダーや労使協定書を添付し、労働基準監督署に届出書を提出します。

有給休暇の申請につき、期間を定めて届け出るよう従業員に要請しても良いですか。

構いません。「年次有給休暇を取得しようとするときは、所定の手続きにより、●日前までに届出なければならない。」等と記載します。

数日から1週間程度が多く、1か月前というケースもあります。1か月以上事前というのは避けた方がよいでしょう。なお、事前に申請された場合でも、会社の業務上の都合でどうしても受け入れがたい場合には、変更を申し入れて調整することができます。

社員の私物のスマートデバイスを業務に使用させています。注意するべき点はありますか。

①会社の業務に私物の携帯電話を使用することによるリスク管理の問題②従業員が業務時間中に私用で携帯電話を操作する問題(職務専念義務違反の問題)を考える必要があります。

上記①については、個人情報保護等の観点から、BYOD規定を策定する、誓約書を提出させるなどの対応があります。上記②については、通常の指揮監督の問題といえますが、上記①の誓約書に盛り込む対応も可能です。私物携帯で取り扱う情報が、どの程度機微な情報であるかによって、どの程度厳しく規制するのか検討するのが現実的です。

従業員同士のコミュニケーション促進のため、社内で従業員の業務経験や家族構成を共有しても良いですか。

家族構成は氏名と結びつくと個人情報となります。個人情報保護法上の個人情報でもある上に、プライバシーに対する配慮も必要です。

個人情報保護法上、会社が主体となって家族に関する情報を取得するのであれば、事前に、利用目的、第三者つまり他の社員に提供することについて同意を得ておく必要があります。

入社試験、給与計算、社会保険等の手続き上把握している個人情報(家族構成)をそのまま利用することは目的外使用となります。業務経験については、原則として共有することが業務上必要といえますが、所属組織等については、思想信条等を推知させる場合など、微妙な問題が発生する場合もあり得ます。

家族構成と業務経験については、社内のコミュニケーション促進のために情報を共有することを説明して、了解を得た範囲で共有するのがいいでしょう。

定期健康診断について教えてください。

労働安全衛生法により、事業主は年に1回、労働者に対して健康診断を受診させる義務があります。

常時使用する労働者のほか、契約期間が1年以上の労働者で正社員の週所定労働時間の4分の3以上働く労働者に対して、実施義務があります。費用は企業の全額負担です。

費用面、従業員の受診形式等、多方面から検討します。なお、検査結果は個人情報のため、慎重な取扱いが求められます。収集の旨を、予め従業員に伝達することが望ましいでしょう。

検査結果から異常所見の有無を確認後、所見がある場合は、医師等から意見聴取を行います。勤務を制限する必要がある場合、作業の転換や労働時間の短縮など、必要な措置を講じましょう。

後日、健康診断個人票の作成の上、書類を保管します。(健診結果の写しで代用可能です。)

海外の事業所に勤務予定の社員がいます。労務管理上、注意するべきことはありますか。

指揮命令権が御社にある出張という前提であれば、日本の労働基準法が適用されます。ただし、指揮監督権が海外法人に変更される場合(出向や転籍)にはリスクが伴います。

※ 記載日現在の法令・運用等に基づき作成されています。具体的な事案については、必ず弁護士・社会保険労務士等の専門家に相談して対応してください。