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県警の記者発表が名誉毀損となり損害賠償請求が認められた事例 東京高裁平成27年11月18日判決

目次

概要

県警が行った原告ら4名の薬事法違反被疑事件に関する記者発表により原告らの名誉を毀損されたとして、国会賠償法に基づき県に対し損害賠償請求を求めた事案。
第一審は、真実性の抗弁が認められるとして原告らの請求を棄却したが、控訴審は、真実性の抗弁は認められないとして、原告らの請求が一部認容された。

判旨の重要部分

【真実性の抗弁について】
「以上によれば、本件書籍のうち、医師・研究者及び体験者らの発言を掲載した部分については、取材に基づくことなく控訴人らによって作り上げられているなど、その記載内容のほとんどが虚偽であるといった事実は認められない。
また、本件書籍のその余の部分についても、その記載内容のほとんどが虚偽であるといった事実を認めるに足りる証拠はない。
よって、本件書籍のうち医師・研究者及び体験者らの発言を掲載した部分を基準としても、あるいはその余の部分を併せて考慮したとしても、本件摘示事実が真実であると認めることはできず、被控訴人主張の真実性の抗弁は認められない。」

【相当性の抗弁について】
「以上によれば、O課長代理が本件説明を行うに際して、本件摘示事実が真実であると信じたことについて一応の根拠となりうる捜査資料は、上記T医師、ag、ai及びam医師の妻に対する捜査結果のみということになるが、本件書籍に発言が掲載された医師・研究者及び体験者らは合計19名であるところ、うち4名に関する上記捜査結果のみを根拠に本件摘示事実が真実と信じたことに相当の理由があったと認めることはできず、被控訴人主張の誤信相当性の抗弁は認められない。」

【損害について】
「 そこで、控訴人らの被った損害についてみるに、証拠(甲3、乙4ないし6)によれば、本件説明がなされたことにより、平成23年10月7日、本件説明で話された内容の概要や控訴人ら4名の実名を記載した記事が神奈川新聞に掲載されたほか、朝日新聞、東京新聞、毎日新聞にも同趣旨の内容と控訴人X1、控訴人X3の実名を記載した記事が掲載され、これにより控訴人会社の社会的評価、信用が毀損され、また、控訴人ら4名の名誉も毀損されて精神的損害を被ったことが認められる。
以上の事実及び本件に係る一切の事情を総合すると、被控訴人の違法行為と相当因果関係のある損害は、控訴人会社については110万円(うち弁護士費用10万円)、控訴人X1及び控訴人X3についてはそれぞれ22万円(うち弁護士費用2万円)、控訴人X2及び控訴人X4についてはそれぞれ11万円(うち弁護士費用1万円)と認めるのが相当である。」

コメント

警察の記者会見について名誉毀損が認められた珍しい事案。被告が地方公共団体であるため国家賠償法に基づく請求であるが、基本的構造は、民法の不法行為責任の場合と同じ。
請求額は、会社が330万円、個人がそれぞれ110万円であったが、認容額は会社について110万円、個人について22万円または11万円であった。全国紙に掲載されたことからすれば、認められた損害額は低いようにも思えるが、県警の記者発表が公共の利害に関する事実について公益目的で表現したものであることが重視されたと思われる。

(Photo by Tony Webster)
 

 

松坂典洋
弁護士・社会保険労務士
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