会社設立時にトラック協会などの就業規則のひな型を入手して、現在まで、そのまま使用していませんか。
ひな型が悪いわけではないのですが、運送業の中小企業のドライバーの勤務実態と整合しない場合が非常に多いです。
就業規則は、会社と従業員の関係を決める法律のようなものです。
経営者の中には、雇い入れる際に歩合制のなどの条件を合意しているから、問題ないと思っている方が多いです。
しかし、就業規則より不利な内容の雇用契約を締結しても、就業規則の記載内容が優先するのです。
歩合制の合意をしても、就業規則に、会社に不利(従業員に有利)な記載があれば、就業規則に従って、残業代を計算して支払わなければならないのです。
このことを知らないで、従業員からの残業代等請求で痛い目に遭う運送業経営者の方が非常に多いです。
こうしたケースでは、300万~1000万円の残業代等の未払賃金の請求を受けるケースが少なくありません。
最近の裁判例では、設立時は建設業を営んでおり、その就業規則をそのまま使用して、歩合制で長距離トラック運転手を雇用していた大島産業が、退職した2人の運転手から残業代請求訴訟を提起され、
残業代計3000万円、付加金や遅延損害金を含めれば、約1億円近い支払いを命令された事件があります。
こうした裁判例と同様な事案を当事務所も扱っていますが、やはり、就業規則が労働の実態と整合していないことが多いです。
就業規則は会社が作成しますから、会社側に有利であることが通常ですが、ひな型をそのまま使用し放置した結果、会社に不利な内容となっているのです。
例えば、完全歩合制であるにも関わらず、就業規則に基本給を設定し、給与明細でも基本給の項目が記載されている会社です。
運転手を雇用した際の合意は、歩合給(=売上の30%)であったのに、就業規則には、基本給+歩合給(売上の30%)を支払うように記載されています。
この場合、基本給が未払いであると請求を受けたり、基本給と歩合給を前提に計算した多額の残業代の請求を受けてしまいます。
そのほかにも、歩合給の計算方法が、実態と整合していないケース、固定残業代を導入しているが、就業規則の定めや運用が不十分または不適切で裁判では固定残業制が無効と判断されるケースも多いです。
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就業規則の変更が従業員に不利益となる場合には、原則として従業員の同意が必要ですので、弁護士等に相談することをお勧めします。
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